無気力クールな僕ですが、真面目な天然規格外男子に沼りました。
「アイツの真似した方が早いんじゃね?」

 頭上を舞う海鳥(アイツ)を指差して冗談で言ってみたら佐吉は大きくため息をついた。

「あのな、これは自慢じゃないけどな」

 佐吉は立ち上がった。

「俺はスイミングスクールの『んーぱっ』で挫けた男だ!」

 佐吉がフルパワーで言い切った後の沈黙に、海鳥の鳴き声が響き渡った。

「ほんとに自慢じゃねぇな」
「っだぁーもぉーーー!!」

 溜め込んだうっぷんを静かな堤防に響かせた佐吉は、折り畳み椅子ごとバタン!と後ろに倒れ込んだ。

「もう無理!こんなずっとじーっとしてないといけないなんて!もうやだむりむり帰りたーい!!」

 3歳児もびっくりなジタバタをする17歳に、俺は目を細める。

「諦めるな、まだ1時間じゃねーか」
「やっと1時間!?どうしよう、泣きそう」

 今度は両手で顔を押さえて縮こまる佐吉に、俺はため息をついた。

「頑張れ。マキちゃんのためだろ」
「うおおぉんマキちゃぁぁん!」

 『マキちゃん』というワードに佐吉はぐぁっと起き上がって椅子に座り直す。


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