無気力クールな僕ですが、真面目な天然規格外男子に沼りました。
「遅えよナギオ」

 自分でも思った以上に明るい声が出た。
 これが佐吉の言う『嬉しそう』な俺なのかもしれない。
 そう思った直後、佐吉にニヤニヤ見られてることに気づいてハッと口を塞ぐ。

「すみません!うっかり反対行きの特急電車に乗ってしまい奥地まで行ってしまいました」

 焦りながら言うナギオはゼェゼェと苦しそうだ。

「はは、大丈夫かよ」
「茶ぁ飲めー」
「あ、ありがとう、ございます」

 ゴクゴクと喉を鳴らして水筒を口に流し込むと、ナギオは持ってきた荷物を広げ出した。

「魚いましたか?」
「いるっぽいけど全然釣れね」
「そうですか」

 ナギオは俺の横に折りたたみ椅子を置くと、慣れた手つきで道具を準備すると、釣り糸に素早く餌を取り付けて投げ入れた。
 その流れるような動作は、初心者の俺たちとは全然違って無駄がない。
 おぉ、かっこいいじゃん。
 ……真剣すぎて顔が鬼瓦みたいになってるけど。



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