冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
(ないとは思うけど、急に都合が悪くなって延期やキャンセルなんてことになったら、ゴルフ場で待ちぼうけになってしまう)

大和の心配性が移ったのかもしれない。

そう思って苦笑いしたけれど、その判断は正しかった。

少し離れた場所から安岐村の自宅を見張っていると、七時ちょうどに迎えの車が到着した。

運転手の若い男性に見覚えがある。

大手食品会社の玄関前で安岐村を見送っていた彼の秘書と思われる社員だ。

スーツ姿なのでプレーはせず、送迎係なのだろう。

安岐村を乗せて走り出した車は、なぜか目的地と違う方角へ向かう。

(どういうこと?)

戸惑いながら追っていると、着いた場所は似た名前の別のゴルフ場だった。

蕎麦屋で葵が聞き間違えたのか、それとも安岐村が言い間違えたのかわからないが、待ちぼうけを食らわずにすんでホッとした。

(危なかった。大和さんの心配性に感謝しないと)

安岐村がゴルフを始めた頃には辺りがすっかり明るくなり、青空が広がっている。

立ち並んだ木の陰に身を隠した葵は、隣のホールとの境になるOBエリアから夢中でシャッターを切った。

(すごい。美味しい写真がたくさん撮れる)

食品会社側は安岐村の他に幹部がふたりいて、農林水産省の官僚はひとりだ。

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