冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
キャディをふたりつけてゴルフを楽しんでいる。

声は届かないが会話も弾んでいる様子で、見ているとほのぼのとした気分にさせられる。

けれども親しくなったそのあとはきっと、官僚から食品会社になんらかの便宜が図られるはずで許しがたい。

正義感を刺激された葵はシャッターを切る指に力を込めた。

(できれば会話も聞きたい。近くにある低木、あそこに隠れたら聞けるかも)

木々に隠れながら移動しようとしたその時、「ファー!」という大声が聞こえた。

安岐村たちに同行しているキャディの声ではない。

どうやら隣のホールでプレイ中の客が打ったボールが、こちらに飛んできたようだ。

とっさに頭を隠したが、ガサッと枝が揺れた場所は七メートルほど先でホッとした。

その時、斜め後ろから声をかけられる。

「どなたですか?」

ビクッと肩を揺らして振り向くと、女性キャディが数歩離れた場所に立っていた。

ボールを探しにきて葵を見つけたのだろう。

(マズイ)

「ええと、これは、その……」

OBエリアでカメラを構えた侵入者。

言い訳できずに頭を下げて謝る。

「勝手に入ってすみません。すぐ出ていきますので」

出口へと走り出そうとしたが、キャディに呼び止められる。

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