冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
「もしバレたら縞森さんがクビになってしまいます。私のために、そんなリスクを背負わせられません。写真だけでも記事はかけますので」

そうですかと引き下がると思ったのに、半歩前に出た菜美恵に真剣な顔で頼まれた。

「私が協力したいんです。やらせてください」

「どうしてですか?」

「高野さんには色々とご迷惑をおかけしたので、償いと言いますか……。それだけじゃないです。誰かのためになにかしたいんです。人の役に立てないと私、生きている意味がわからなくなってしまう」

切実そうな顔する菜美恵に心打たれた。

人の役に立ちたいという思いは共感できる。

子供の頃、警察官だった父に憧れ自分もそうなりたいと思ったが、父の葬式で犬死にと言った警察幹部に幻滅し、夢を手放した。

その代わりに筆で悪を裁こうとライターになったのだが、根底にある思いは菜美恵が言ったことと同じだ。

「お願いします」

小型のボイスレコーダーをポケットから出して渡すと、菜美恵が口角を上げて頷いた。



時刻は十六時半になるところだ。

葵はゴルフ場近くの二十四時間営業のファミリーレストランにいる。

菜美恵とは連絡先を交換して別れ、十四時頃に電話がかかってきた。

しかけたボイスレコーダーを無事に回収したという報告だ。

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