冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
それは申し訳ないが、この時間、彼はまだ仕事中だと思っていた。
忘れていたわけでも、心配させたかったわけでもない。
「連絡しなくてごめん。今、近くのファミレスからゴルフ場に戻るところ。遅くなった事情は帰ってから話すよ。相手を待たせてるから今は急がないと」
『相手? 誰のことだ?』
大和の声が険しくなる。
警察の勘が働いたのかもしれず、ギクッとした。
(縞森さんの名前を出したら絶対に心配される。奥さんはいい人だけど、旦那さんに協力していただろうし)
それについても事後報告にした方がいいと判断し、会話を切り上げようとする。
「全部、帰ってから話す。本当に時間がなくて」
『待て。今、調べているが、ゴルフ場の近くにファミレスが見つからないぞ。どこにいるんだ?』
大和には昨日、別のゴルフ場の名前を伝えていた。
「もう、こっちは忙しいのに。そこじゃなかったの。名前が似ていたから間違えた」
これから向かうゴルフ場の正しい名前を伝え、「切るね」と携帯を耳から離した。
『待て! そこは――』
大和がなにかを叫んでいたが、指先が通話終了に触れていた。
マナーモードにした携帯をリュックにしまい、エンジンをかける。
(ごめん、大和さん。小言は帰ってから聞くから)