冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
その向こうにグリーンがあるのだろう。

菜美恵はOBエリアに潜んで待ってくれていたようで、すぐに駆け寄ってきた。

「縞森さん、お待たせしてすみませんでした。危ないことをさせてしまって、それについても申し訳ありません」

リスクを承知で協力してくれた菜美恵に心から感謝している。

きっとハラハラして緊張したことだろう。

彼女を疲れさせた原因が自分にあると思うので、頭を下げて謝った。

菜美恵は私服に着替えていて、寒いのか黒っぽいロングコートのポケットに両手を入れている。

「危ないとは少しも思いませんでしたよ。官僚と企業の役員と言ってましたっけ。あのおじさんたち、調子のいいことばかり言って馬鹿みたいにヘラヘラ笑ってたんです。信念もなにもありそうになくて、あんな人たちがこっちの企みに気づくわけありません」

(えっ……)

葵の中での菜美恵の印象はいい。

結婚して子育てを頑張っている同世代の女性は、自分よりずっと先を進んでいるような気がする。

それだけで感心するのに、彼女は夫が逮捕されて生活が一変し、苦境の中でひとりで子供を育てようと一生懸命に働いている。

人の役に立ちたいからと協力までしてくれて、かなり好印象を抱いていた。

そんな彼女がついた悪態に面食らう。

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