冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
(健気なタイプだと思っていたのに……)

菜美恵の人柄をわかっているつもりになっていたが、よく考えると何回か話したことがあるだけのただの顔見知りだ。

いい人だと決めるのは早いのかもしれない。

少しだけ警戒し、早く用をすませようと作り笑顔でお願いする。

「早速ですみません。ボイスレコーダーをいただけますか?」

「ええ」

菜美恵がポケットからボイスレコーダーを取り出した。

それを受け取れば今日の仕事は終了で、大和の待つ自宅に帰れると気を緩める。

手を差し出したその時、葵は驚きの声を上げた。

菜美恵が後ろに向けて、思いきりボイスレコーダーを投げたからだ。

池の方からポチャンと水音がして、たちまち慌てる。

「せっかくの汚職の証拠が!」

今まで協力的だったのになぜ急に態度を変えたのか。

信じられない思いでいると菜美恵がこちらに向き直り、恨みがあるような敵意のこもる視線をぶつけられた。

(逃げないと……)

なぜ恨まれているのかわからないが、直感的に危険を察知して後ずさり、三メートルほどの距離を取った。

すると菜美恵がまたポケットからなにかを取り出した。

両手で構えるそれは拳銃で、殺意まで持たれていることに恐怖して立ちすくんだ。

「ど、どうして……」

< 196 / 218 >

この作品をシェア

pagetop