冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
「今日、ライターだと言われて、やっとすべてが腑に落ちたわ。仕事上、警察と知り合いになってもおかしくないもの。彼氏だと嘘をついて、真上で私たちを盗聴していたんでしょ。音が漏れないように気をつけていたのに、悔しい」

直斗の夜泣きは、録音を繰り返し流していたものだったと明かされて驚いた。

銃の製造音に気づかれないようにするためと、隣と真上の部屋の住人を引っ越しさせて空室にするためだ。

子供の夜泣きなら仕方ないと諦めてくれる人が多く、たとえうるさいと通報されても警察は同情的な態度でいてくれる。

(抱っこしてあやして、親は大変だと思ってたのに。すっかり騙された)

菜美恵のイメージがどんどん悪い方へと落ちていく。

それが葵の正義感に触れて、怖くても確かめずにいられない。

「あなたもテロを起こそうとしていたんですか?」

銃の密造に協力させられていただけだと思っていたが、実はテログループの一員だったのだろうか。

不快感を隠さずに問うと、少しだけ菜美恵の表情が曇った。

「違うわよ。私はただ、夫の役に立ちたかっただけ。私の恩人だから……」

「恩人?」

独身の頃、菜美恵は勤め先で先輩社員から陰湿な嫌がらせを受けていたそうだ。

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