冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
思いつめて屋上から飛び降りようとしたところを、別の部署に勤めていた縞森に助けられたと彼女が語った。

「夫は正義感が強いの。テロって言うけど、世直しなのよ。だから、あの人は悪くない」

言い訳するような弱気な口調だ。

夫の悪事を肯定するようなことを言っても、本心は違うのではないかと思った。

(説得が通じるかもしれない。なんとか思い直してもらわないと)

殺されたくないという思いの他に、菜美恵を悪人にしたくないという気持ちもある。

「旦那さんに助けられた過去があるから、役に立ちたかったというのはわかりました。でも、それなら協力ではなく止めてあげた方がよかったのでは? 暴力以外の方法で世直ししてと言うべきだったと思うんです」

「意見できないわよ。そんなことをすれば嫌われる。あの人の愛を失ったら、私は生きていけないの」

「失礼ですけど、縞森さんご夫婦の間に愛情があるように思えません。旦那さんは言うことを聞くコマとしてあなたを見ていたんじゃないですか? あなたも、愛ではなく依存しているだけです。本当に愛情があるなら、
相手を危険な目に遭わせたくないと思うはずですから」

菜美恵の心に届いてほしいと必死に訴えた。

その説得の言葉は同時に自分の胸にも響く。

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