冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
けれども警察は菜美恵を毎週呼び出し、取り調べを続けているそうだ。

そのため都外への引っ越しは禁じられており、直斗は児童相談所に一時保護されている。

面会も制限つきで、「まるで人質よ」と吐き捨てるように菜美恵が言った。

葵に向けられている視線に鋭さが増す。

「夫と子供を奪われたの。あなたのせいで。十分に殺す理由になるでしょ?」

説得の言葉が見つからず、焦りと恐怖が増すばかり。

(どうしよう。いちかばちかで走って逃げる?)

それしかないと思ったが、考えを読まれたのか、素早く距離を詰められ心臓の位置にピタリと銃口を当てられてしまった。

「そこの池、結構深いんですって。ロストボールを狙った侵入者が溺死したことがあるそうよ。選ばせてあげる。自分から池に入るか、撃たれて死ぬか、どっちがいい?」

子供の頃は学校のプールを何往復も泳げたが、冬の夜の池に着衣のままで入れば溺れる予感しかしない。

(どっちも嫌だけど、撃たれて死ぬのだけは絶対に避けないと)

大和を思えばこその選択だ。

葵の父が職務中に撃たれて亡くなったのを、彼は自分のせいだと言って悔やんでいた。

もし葵が銃で命を落とせば、父の死と重ねて捉えてしまうかもしれない。

そんなつらい思いはさせられないと考えた。

< 201 / 218 >

この作品をシェア

pagetop