冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
スーツの胸に顔を押しあてられ、それ以上は言わせてもらえなかった。

「なにがあっても俺が守るから、言えなくなることはない」

「でも」

「それでも言いたいなら、帰ってからにしてくれ。盗み聞きをしている奴がそこにいる」

(誰?)

黒いコートを羽織ったスーツ姿の警察官がこちらに近づいてきた。

天使のようにきれいな顔でニヤニヤしているその人は、井坂だ。

「盗み聞きじゃなく、堂々と聞いてたよ。少し前までそんな関係じゃないとか言ってたくせに、ラブラブじゃん。藪のコラージュ写真が現実になる日も近そうだね」

(やぶ? コラージュ?)

なんのことかわからず説明を求めて大和を見たが、視線は合わない。

「なぜ知ってる? 藪が自分から見せるとは思えないが」

「仕事を頼みに行ったらさ、膝抱えてたから優しくわけを聞いたんだよ。お前を喜ばせたかったのに叱られたって落ち込んでたぞ」

「あとでフォローしておく」

井坂はククッと笑っていて、嘆息した大和の視線が葵に戻された。

「なんの話か聞いてもいい?」

「すまない。機密事項なんだ」

バツの悪そうな顔で大和が答えると、井坂が片手で口元を押さえた。

吹き出すのをこらえているような様子で背を向けると、もう一方の手をヒラヒラと振る。

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