冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
それからキッチンに来て、ホッとしたように微笑む。

大きな手が葵の頬に触れた。

「決断してくれてありがとう」

「私の方こそ、お礼を言わないと。最近、辞めろって言わなかったのは、私が自分で決めるのを待っていたからでしょ?」

きっとそうだろうと思って聞いたのだが、大和が眉尻を下げた。

「いや。お前が俺の仕事を理解してくれていたからだ」

大和の口から公安警察だと語られたことは一度もない。

気づいていながら葵が聞かないのは、公安警察がそういうものだと知っているからだ。

捜査に協力した時も、自分からは仕事内容について触れないようにしていた。

葵のその配慮に大和も気づいていたそうで、今も公安だとは口にしないけれど、「ありがとう」と微笑した。

「だから俺も、葵の仕事を応援しなければと自分に言い聞かせていたんだ」

その言い方から察するに、応援しようと思っても心配でできなかったのだろう。

「仕事は辞める。自分で決めたことだから。大和さんが気に病む必要はないからね」

「葵……」

目を細める大和から視線を逸らした。

頬から彼の手も外して、横を向く。

「どうした?」

「うん……。決意はしたけど、それなら私はなにをすればいいんだろうと思って」

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