冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
自分の場合は、大和に何度も連れていってもらった寿司屋だろう。

思い出深い店とその人のエピソードを紹介する、そんな記事を書いてみたいと、あの時にふと思った。

ハッとして、途端に目が輝く。

「いいかも。ちょうど書いてみたいものがあったの。お世話になっている出版社の人に聞いてみる」

いらないと言われる可能性も十分にあるが、一回目の記事は自分と大和と寿司屋にしようと考え始めていた。

嬉しくなって、相談に乗ってくれた彼の首に腕を回して抱きついた。

「こんなに早く解決するなんて。大和さん、ありがとう!」

背中に彼の腕も回される。

抱きしめ返されて我に返り、急に恥ずかしさに襲われた。

顔を熱くしていると、耳に安堵の息がかかる。

「一件落着だな。俺の方も、やっと解決だ」

「それって、事件のこと?」

「ああ。今日付けで対策室を解散させた。そのあとは通常業務内での捜査に移行する」

(それって、つまり……)

『この事件を完全に解決させたら、葵のすべてをもらう。覚悟はしておいてくれ』

三週間ほど前の約束が、脳内で再生された。

急激に鼓動が高まって、大和に聞こえてしまうのではないかと心配になる。

けれども首に回した腕を解けない。

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