冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
長年の片想いが実っただけで最高に幸せなので、結婚はまだ意識していなかった。

戸惑いながら、早すぎるプロポーズの理由を考える。

「すべてをもらうっていう言葉に、結婚も含まれていたの?」

「ああ」

大和がベッドに身を起こした。

六つに割れた見事な腹筋をさらしてくれて、胸がときめく。

顔を熱くした葵の頭を、大きな手が撫でる。

「急かしてすまないが、俺の立場上、この先も一緒に暮らしていくには結婚しなければならない」

大和は多くの機密を抱える公安警察の幹部だ。

家族ではない者と同棲するのは好ましくないのだろう。

厳しい縦社会の警察組織には、古い倫理観も残されていそうな気がした。

(そっか……)

納得したものの、残念な気持ちになる。

(愛しているからじゃないんだ。愛されていないとも思ってないけど)

指輪のダイヤは大粒で、値段の想像がつかない。

葵が喜ぶだろうと期待して選んでくれた大和の気持ちを考え、意識して口角を上げた。

「すごくきれいで、私にはもったいない。ありがとう」

けれども作りものの笑顔だと見破られてしまったようで、彼が眉尻を下げた。

「結婚したくないなら、正直に言ってくれ」

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