冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
「たしかに久しぶりだ。加賀見くんとは会議でしか会わないからな。しかし君の活躍は耳に届いているよ。なんたって、迷宮入りを三つも解決した天才だからな」

三つではなく四つだが、未解決だった殺人事件を解決に導いたのはその通りだ。

天才だと言う人もいるが、大和自身はそう思わない。

捜査記録を読み返し、足りない情報を得る手段を考えて実行し、得られた証拠をひとつひとつ吟味したあとは、ピースをはめ直してパズルを完成させただけだ。

犯人を嗅ぎ分ける天才的な能力があるわけではない。

それも十年ほど前の話で、敷島に会うたびに褒められると嫌味に聞こえてくる。

(いや十中八九、嫌味だろう。このあとに言われるのは、おそらく苦言だ)

予想に違わず、笑顔だった敷島の顔が曇った。

「君らの代で警視総監の椅子に座るのは加賀見くんだろうな。君がいればどんなテロも未然に防げるはずだ。実に頼もしい。そう思っていたのだが、昨日の事件はどうしたものだろうか?」

昨日の未明に、都内の郊外の民家で爆発事件があった。

火薬類取締法違反で逮捕された犯人は三十代の会社員。

花火を自作したかったという動機を供述しているが、火薬の種類や調合記録を見ると爆薬を作ろうとしていたと思われる。

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