春待つ彼のシュガーアプローチ
実は三雲さんとの一件があった日の放課後。
帰り道で氷乃瀬くんと連絡先の交換をした私。
それから数日はメッセージだけのやりとりだったけど、今日は電話で話がしたいと氷乃瀬くんから希望があって今に至る。
電話の時間は予め聞いていたけれど、もしかしたら早めに連絡が来る可能性も…なんて思ったら気が気じゃなくて、食卓にもスマホを持ち込んでしまったのだ。
まだ1分経っただけか…。
読書や勉強をしていれば10分なんてあっという間なのに、今はひたすら長く感じる。
立ち上がっては座って。
それでも落ち着かなくて部屋の中をウロウロしてみたり。
意味のない行動を繰り返して時間を費やしているうちに氷乃瀬くんから電話がかかって来た。
「も、もしもし」
『氷乃瀬だけど、話しても大丈夫?』
「うん」
電話口の声だからかな。
いつもと違って少し大人っぽく感じる。
男の子からの電話が初めてという緊張も相まって、妙にドキドキしてしまう自分がいた。
『学校だけじゃなくて、家でも陽咲の声を聞けるのってマジで嬉しい』
「今まで電話で話したことなかったから新鮮な感じだね」
『面と向かって話すのが一番だけど、こういう風に会話するのもいいな。会えなくても陽咲が側に居るみたい』
声だけなのに表情が頭に浮かぶ。
今の氷乃瀬くん、きっと笑顔だ。