春待つ彼のシュガーアプローチ

「私、家に帰って着替えてくるね…」


居たたまれない気持ちになり、この場所からフェードアウトしようとした時。


氷乃瀬くんは慌てた様子で私の手首を掴んだ。


「なんで?似合ってるのに」


「えっ」


今のは幻聴?
それとも聞き間違い?


「すげぇ可愛くて、出来ることなら他の男たちの視界には入れたくないぐらいだし」


空いている方の手を首の後ろにあてながら、ぎこちなく視線を逸らした氷乃瀬くん。


思いも寄らぬ言葉に今度は私が固まってしまった。


“可愛い”って思ってくれていたんだ。


かなり誇張して褒めてくれたんだと思うけど、そんな風に言ってもらえると心がくすぐったい。


なんだか浮かれてしまう。
この服を選んで良かった…って。


萌絵ちゃんに助言を貰いつつ、色んなお店を回って決めた服だから余計に嬉しい。


「あのさ、せっかく俺たち早めに集合したことだし、時間が勿体ないから出発しよう?」


「そ、そうだね」


ついに氷乃瀬くんとのデートが始まるんだ。


事前に計画した通りに遂行出来るよう、頑張らなくては!

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