春待つ彼のシュガーアプローチ
最初にやって来たのは、駅から歩いて5分ほどの場所にある文具や雑貨を扱うお店。


大通りから一つ外れたオフィス街の一角にあるためか、休日の店内はそれほど混雑することもなく静か。


オルゴールのBGMが流れていて、レトロモダンな空間で落ち着いて買い物を出来るところが好きだ。


「もしかして、これって陽咲が使ってるものと色違いのシャーペン?」


「うん!前にこのお店で買ったの。書き心地が良いから凄く使いやすくて、お気に入りのメーカーなんだ。実は萌絵ちゃんと仲良くなったキッカケもこのシャーペンでね、去年の第1回図書委員会の時に……」


ちょっと待って。
氷乃瀬くんがキョトンとしている…。


私ってば過去エピソードの引き出しを開けて勝手に喋り始めてしまったけど、氷乃瀬くんからすれば、どうでもいいことだよね。


「ごめんね、いきなり語り出したりして」


「全然いいよ。それで続きは?」


「あの、思い出話なんて聞いても退屈なだけじゃない?」


「そんなことないよ。陽咲に関することならどんな話だって聞きたいから」


「でも、氷乃瀬くんの表情が驚いたというか引いてるように見えたけど……」


おそるおそる伝えると氷乃瀬くんは口元を緩めた。

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