春待つ彼のシュガーアプローチ
「もしよければ、明日…氷乃瀬くんが登校して来たら栞ちゃんが5組に来たこと伝えておこうか?」
「でも、それだと萌絵ちゃんに大きな負担を掛けてしまうのでは…」
「全然大丈夫だよ!これからも困った時は遠慮なく私に頼ってね」
萌絵ちゃん、優しすぎる。
「ありがとう。このあとの部活も頑張ってね」
「うん!」
私たちは教室前で笑顔で手を振りあって別れた。
氷乃瀬くんに会いたくない時には会っちゃうのに、会いたい時には会えないんだな…。
下駄箱にやって来た私は靴を履き替えながら苦笑いする。
この時間なら、もうすぐ市立図書館行きのバスが来るからタイミングよく乗れそう。
昇降口を出ようとした、その時。
「陽咲!」
突然呼ばれて振り向くと、こちらに駆け寄ってくる氷乃瀬くんの姿が視界に映る。
ここまで急いで来たのか、目の前で立ち止まった彼は肩で息をしていた。