天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
その後、律の母親の仁美さんと、幼馴染の真弓さんを始めとする声楽家の人たちによるアカペラでの祝いの歌が届けられた。

そして滞りなく式はおこなわれて、また生演奏をされる中、みんなからフラワーシャワーを盛大に浴びる。

憧れだった式。
焦ってヤキモキした事もあった。

それでも皆んなの励ましに支えられて、なにより律はちゃんと知らないところで準備を進めてくれていた事に、なによりも幸せを感じた。

しかもいつだって想像の斜め上をやってくる。
私は驚かされてばかりだ。

こんなに素敵な人と結婚できた私は世界で一番の幸せ者だと思う本当に。

律との出会いは本当に偶然だったし、まさか自分が世界を股にかけるようなピアニストと結婚をするなんて、誰が想像できただろうか。

いつもどこか満たされず燻っていた私を、律はこんなに広くて美しい世界へと導いてくれた。

愛し愛される喜びを教えてくれた。

この人なしではもう私は息も吸えないのではないだろうか。

決して当たり前ではなく、尊敬と感謝の気持ちを忘れないでいよう。
そして、私からもたくさんの愛を伝えていこう。
そう思った。
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