バッカスの女神様はオトコを知らない
デラシアは肩をすくめて、このドラゴンの持ち主をどうやって起こそうか思案した。

「レガートさん!!起きてください」

耳元で、大き目の声を出してみる。

泥酔しているのか、反応がない。

次に、デラシアはダニエルの肩を軽く指で叩いた。

「レガートさん、ここで寝てはダメです」

うん・・・ダニエルが薄目を開けた。

覗き込んでいるのは・・・・

薄い青灰色の瞳と、水に濡れたような漆黒の髪が乱れ落ちる・・・

ぼんやりと、ダニエルは思い出していた。

それは・・・

昨日、骨董商が売りつけに来た、薄い陶磁器の小さな壺に描かれている女。

東洋の女神だと骨董商が説明した。

緻密で複雑な吉祥模様で埋めつくされているのだが、中央がくりぬかれたように白抜きになっている。

そこに、枝にもたれかかって、薄絹をまとった女神が描かれていた。

黒髪が風に舞い、今、天から舞い降りて来たところか。
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