バッカスの女神様はオトコを知らない
キスだけで、これだけわかるのか・・・

ダニエルは、その能力に恐ろしさも感じ始めていた。

「パーティの後だ。
俺が、店の女たちと飲んだ酒のなかで・・・何かあっただろうか?」

「社長は女たちと・・・じゃんけんをして負けると服を脱ぐ・・・」

マークスはチラリとデラシアを見た。

「ゲームで、一緒に飲んでいたのは、甘い酒ですか?」

「はちみつ?」

デラシアがつぶやいた。

「それなら、ミードですね。
東欧出身の女が自分の家で作ったと持ちこんで、みんなで回し飲みをしていましたから」

マークスが即答した。

「ミード、はちみつ酒か!!」

ダニエルが、バンと机を叩き、やっと難問を解いたように叫んだ。

目の前の無表情な女神が、キスをしたら幸運を落としてくれたのだ。

「コンペに出す酒が決まったぞ!すぐに試作するっ!
シスター、アンタも来るんだ。アンタの力が必要だ!!
ハーブやスパイスでオリジナリティを出せる!」

ダニエルはデラシアの腕をつかんで、急いで地下倉庫に向かった。

すでに獲物を狙う狩人の目をして、弾んだ声で

「はちみつ酒なら、発酵時間がそれほどかからないから、いろいろな組み合わせを試せるぞ!!」

デラシアはダニエルに引っ張られながらも、ふと思った。

この人は他の女の人にも、あんなふうにキスをするのだろうか・・・・
< 50 / 74 >

この作品をシェア

pagetop