またあなたに花束を
私に欠点があるなら、直さなければならない。私は常に完璧でいるべきだ。私は誰がどう見ても完璧な人形なんだから。
「穂希、、?」
彩花の声ではっとなりすぐ振り向くと、心配そうに私の顔を覗き込む彼女のと目が合った。急いで言葉をひねり出そうとする。
「ごめん!ちょっと体調悪くなっちゃったから先に合奏してて」
俯いたままそう言うと、二人の間に沈黙が流れる。こんな嘘バレるに決まっている。でも誰も私の嘘に対して疑問を抱かない。私はみんなが認める完璧な女の子、如月穂希なのだから。
「…わかった、」
しばらくしてからか細い声で彩花が口を開いた。どんな感情でわかったと言ったのか。どんな表情でわかったと言ったのか。それを確かめるのがあまりにも恐ろしくて俯いたままでいた。
しばらくして落ち着いた後、ふと窓の外を眺める。私の住んでいる市は田舎の中でも相当な田舎だった。窓から見える町の情景はいつもと変わらない緑で拡がっている。見飽きたこの光景も私にとっては唯一の居場所だった。
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