またあなたに花束を
*私の家庭は父子家庭だ。母は私が小学一年生の頃自害してしまった。父に離婚を申し出されたことが原因らしい。そこから父は責任を感じ毎日私に泣きつくようになってしまった。
『お前は死なないでくれ。お父さんをこれ以上責めないでくれ。お前はお父さんの味方でいてくれ。』
『頼む、』と縋るように父は私に抱きつき、父の涙で私の服は徐々に湿っていく。
何度聞いたか分からない父の嗚咽。父の言葉。耳を塞ぎたくても、塞いでしまったら父の存在をも否定してしまう気がして出来なかった。誰にも相談できない、耳も塞げない状況が長く続くと、次第に感情がわからなくなっていった。迷惑をかけないよう自分の気持ちを押し殺すよう生きてきた。気持ちを押し殺せば父は笑ってくれていた。私が我慢することによって泣き縋る父はいないことになるのだ。
しかし、その反動でか学校では思ったことをはっきり言うようになっていた。それをしばらく続けていた小学6年生の冬。それが気に入らなかったであろう。いわゆる一軍女子グループに体育館裏に呼び出された。
「なんで呼び出したかわかる?」
よくいじめであるようなシュチュエーションだなと思っているとそのグループのリーダー的存在の女子が口を開く。
「わかんないけど。てか理由もなしに呼び出すとか人としてどうなの」
いつも通り思ったことをはっきり言っていると明らかに相手の顔が怒りに満ちた顔になる。
「そういうところ!!ほんっとムカつく」
なんで怒っているかなんて手を取るようにわかる。
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