みんなだまされてますっ!~取り扱い注意なウラの顔×4⁉
「ちとせちゃんのケーキって本当においしいねぇ」
ほっぺたをおさえながら、うれしそうに食べてくれる雪城先輩。
「食堂のケーキなんかより、よっぽどうまい」
そう言って祐希くんもケーキを頬張ってくれる。
「あ!食堂のケーキ!私まだ食べられてないんだった!どんな感じ?」
「どんなって言ってもなぁ…」
「ちとせちゃんのケーキのほうが断然おいしいよ」
「えへへ、そう言ってもらえるとうれしいですけど、やっぱりケーキ好きとしては食べてみたいです!」
食堂のケーキも食べなきゃだけど、お菓子作り部の活動も見学したいなぁ。
あれからちょこちょこお菓子作り部の部室である、第二家庭科室をのぞいているんだけれど、まだ活動を見学できていないんだ。
部員が少ないから、あまり活動してないのかな…?
雪城先輩によると、たしかに存在する部活らしいんだけど…。
「もうひと切れ食べていいか?」
「あ、うん!もちろん!」
となりに座る澪くんが、フルーツタルトを自分のお皿に乗せる。
ここのところ機嫌の悪そうだった澪くんは、今日はいつも通りな気がした。
やっぱりケーキの力かも!
おいしいケーキは元気の源だし、気分も良くなったのかも?
「ところでうさちゃんはまだ来ないの?」
「さっきまでキッチンで私のケーキ作りをスケッチしていたんですけど、いったん部屋に戻るって言ってそれきりです」
すぐに戻ってくるものだと思っていたけれど、思ったよりも遅い。
紅茶も冷めちゃうのに…。
「私、少しようすを見てきます!」
「はーい、よろしく~」
作業中は邪魔しないよう言われているけれど、タルト食べるって言ってくれてたし、とりあえずようすを見るだけでも。
もしあまりに集中していて、声をかけられなさそうな雰囲気だったら、兎山くんの分は冷蔵庫にとっておこう。