みんなだまされてますっ!~取り扱い注意なウラの顔×4⁉

 翌日。

 約束通り兎山くんを呼んで、タルト作りを再開した。

 私がケーキを作っている横で、兎山くんはなにかを必死にスケッチしていた。

 すごい集中力だ…!

 真剣に見て、それをささーっと鉛筆で描いていく音がしてる。

 いつもひとりでケーキを作るときは、鼻歌なんか歌いながら作ったりするんだけど、そんなことできる雰囲気じゃまったくなかった。

 そんなこんなでいちごとブルーベリーとモモのフルーツタルトが出来上がった。

「完成!」

 生地もしっかり焼けたし、盛りつけもすっごくうまくいった。

「兎山くん、できました!」

 完成したフルーツタルトを見せると、兎山くんはまたスケッチブックに鉛筆を走らせる。

「へぇ、おいしそうじゃん」

「えへへ、今日のは力作です!兎山くんも食べるよね?」

「うん」

 なんとなく心ここにあらずなお返事。

 きっと描くことに集中してるんだ。

「ちょっといったん部屋に戻る。すぐ戻ってくるから」

「あ、うん!紅茶も用意して待ってるね」

 兎山くんはぱたぱたと自室に戻って行った。

 なにか絵のインスピレーションでもわいたのかな?

 私はフルーツタルトを切り分けて、紅茶の準備をして談話室に向かった。


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