神殺しのクロノスタシス1
私の両親は、魔導師ではなかった。

それなのに、私には子供の頃から、魔導適性があった。

父曰く、父の遠い親戚に魔導師の叔母がいるから、そこから受け継いだのだろう。

魔導適性があろうと、なかろうと、両親には関係なかった。

二人は、一人娘の私をとても大切にしてくれた。

両親が魔導師ではなかったことから、私は魔導適性があったにも関わらず、魔法にあまり興味がなかった。

両親は、「魔導師になりたかったら、魔導師養成学校に行けば良いよ」と言ってくれたが。

魔導師になるつもりのなかった私は、普通の学校に進学した。

あんな事件が起きなければ、私は今でも、魔導師とは何の関係もない生活をしていただろう。

運命のその日は、私の10回目の誕生日だった。

毎年両親は、私の誕生日を盛大にお祝いしてくれた。

そして今年は、記念すべき10回目の誕生日ということで、両親は私に、「何が欲しいか」と尋ねた。

「何でもしてあげるから」と。

私は、「新しいお人形が欲しい」と答えた。

それから、「遊園地に行きたい」とも。

なんとも贅沢な誕生日だが、娘に甘い両親は、喜んで承諾してくれた。

そして私はその日、買ってもらったばかりの新しいお人形を抱いて、両親と三人で、遊園地に行った。

今でも覚えている。

余所行きのピンク色のワンピースを着て、母に髪を綺麗に結ってもらって。

可愛らしいお人形を抱いて、両親に連れ添われて笑顔で遊園地を歩く、幼い私の姿。

何処から見ても、幸せな子供だった。

幸せだった。

幸せだったのに。

その幸せは、突如として奪われた。




最後に観覧車に乗ろう、と観覧車に向かって歩いていた私達の耳に。

突如として、甲高い悲鳴と金切声が聞こえた。

びっくりして振り返ったときには、全てが遅かった。

発狂した男が包丁を突き出した瞬間、私の目の前に父が飛び出し。

母が、私を守るように抱き締めた。

両親の血飛沫が、私の顔に振りかかった。

あの瞬間。

私の幸せは、終わった。





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