甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
私は近くにあったコンクリでできた柱に背中を預け、なんとか倒れないように身体に力を込める。

もう時哉さんの姿は見えなくなっていた。





「何が起きたの……?」





訳が分からないままのはずなのに、顔が熱くなり、心臓が異様に速くなっていく。

理解出来ないはずなのに、どこか理解出来ているような意味の分からない感覚が襲ってくる。

それでも数分経てば、「とりあえず、家に帰ろう……!」という冷静な考えに変わる。

なのに……





その時、すぐに家に帰れば良かったのかな。





時哉さんと行く予定だったコンビニでちょっとお茶でも買いたいなと思ってしまった私が間違っていたのだろうか。





入ったコンビニでゆっくり飲み物を見ていたのが、ダメだったのかな。







「末永?」






振り返れば、田代くんが立っていて。

どうやら、もう私の世界は変わり始めていたようで。




この不思議な夜は、まだ終わらない。

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