極道に過ぎた、LOVE STORY
 「おい、幸。カフェ行くのか?」

 私は、ピタリと足を止めた。

 「ねえ、もしかして、玲香に何か言った?」

 私が振り向いた先には、ソフトクリームを美味しそに頬張る康が立っている。


 「俺は何も。ただ、幸の弱みを聞かれただけだ?」

 「はあ? それで何て言ったの?」

 「幸に、弱みなんてあるのか?」

 康は、チラリと意味ありげに私を見た。

今回も、康の策略に乗る事になりそうだが、それが最善の策だとおもうから、これ以上深掘りするのはやめた。

 「ところで、この間の幸を襲って来た男達の素性は分かったのか?」

 康に話すべきかは悩むが、助けて貰った手前、何も伝えない訳には行かないだろう。

 「誰が何のための狙いだったのかはまだ分からない。襲った奴もこの大学の学生では無かったし、轟川の娘だという事も知らなかったらしい。ただ、この大学の学生から頼まれたみたいだ。その学生も、知らない奴に声をかけられたらしいが、流石に轟川の娘とわかってていて直接手を出す事は避けたたらしい」

 「じゃあ、また襲われる可能性もあるって事だろ?!」

 珍しく、康の声に鋭さを感じた、


 「だろうね」

 「そんな呑気な事、言っっている場合か? 大学内を一人で歩くのは危険だ!」

 「門の外には、羽柴もいる。私だって、そんなに簡単にやられるような事はない」


 「そうじゃない! 心配なんだ……」

 康の目が、切なそうに私を見ている。そんな目で見ないで欲しい。


 「これから、月岡病院での実習も始まる。心配ない」

 「俺が、心配したらダメなのか?」

 下を向いていた私の頬を、康の手が触れて持ち上げられた。胸の奥がキュンと音を立てた。

 「私の住む世界はこんなもの。いちいち心配しきれない」


 「それでも、俺は心配したい」

 こんな手、振り払ってしまえばいいのに、目を合わせたままの体が動かなかった。

 「離して……」

 そう言うのが精一杯だ。


 「嫌だって言ったら?」

 「殴る」

 「そっか」


 そう言って、康は頬にあった手を私の頭の後ろに移し、グッと力を入れた。自然と私の額は、彼の肩に押し付けられた。

 「離したんだから殴るなよ」


 私は何も言えず、しばらくそのまま康の匂いに包まれていた。
< 35 / 84 >

この作品をシェア

pagetop