エリート商社マンはわたしの王子様~見てるだけで幸せだった推しの恋愛対象がわたしってどういうことですか?~
由莉愛がゆっくりと言った。

「本気なんだね」

涙を我慢しているのがわかる。

「そうだね。残念だけど…会えないとね…無理でしょ?」

俺は昔から女の子たちと別れるときみたいに、由莉愛にニッコリと微笑んだ。

「わかった」

由莉愛は搾り出すようにそういうと、俺の間をすり抜け、パタパタと部屋から出ていった。

由莉愛の足音が完全に聞こえなくなると…俺は天を仰いだ。


「あーあ。鍵返してもらうんだった」
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