君が愛おしくて。クールなエリートSPの甘く一途な溺愛事情
愛する人がいて、その人を失うことの辛さや、悲しさ。
(もし……要くんがいなくなってしまうことがあったら、私は……)
「お前がこの家を出て行って気づいた。いつも当たり前のようにあったご飯。片付けられた部屋。いってらっしゃい。おかえり。おやすみと言ってもらえることの幸せ」
お父さんが私を見た。その瞳は空っぽのようだけど、今はちゃんと、私が映っているようだった。
「すまなかった」
「えっ……?」
私に向き合い、両膝に手を乗せ、頭を下げるお父さん。
私は困惑した。
「お、お父さん……」
顔を上げて言う前に、お父さんは話を続ける。
「裕介のことも、許してやってほしいとは言わない。ただ、あいつを嫌いにならないでやってほしいんだ。あいつも俺と同じ、どうしよもなく、愛情を求めた」
裕介は今、刑務所に服役している。罪を認めたこと、本人に反省の意思があると見られたこと、何より、私に怪我もなく、裕介の社会復帰の妨げにならないようにしてほしいという私の願いの元、刑は重くはならないはずだ。
お父さんのことも、裕介のことも、簡単には気持ちに整理がつけられない。でも、愛する人がいる今の私には、あの時のお父さんの気持ちが、少しは理解できる気がした。
「私は、お父さんを恨んでないよ。確かに、いっぱい傷つけられたし……苦しかった……でも、それが全てじゃないって分かったから」
お父さんはお父さんなりに、私を自分から守ろうとしてくれていた。お母さんとの思い出も、私の存在も、大切にしようとしてくれていた。
(……それに、どんなことがあろうとも、私はお父さんを嫌いになれない)
「だから、父親じゃないなんて言わないでほしい。これから先も、何があっても、私の父親は、お父さんただ一人なんだから……」
「花音……」
涙を滲ませる私に、お父さんの瞳も潤む。こぼれ落ちそうになる涙を荒っぽく指先で払うと、お父さんは立ち上がり、ペンを持ちこちらに戻ってくる。
「これでいいだろうか」
要くんは婚姻届けを受け取ると、私に見せてくれる。そこには、しっかりとお父さんの名前があった。
(この字……)
荒っぽくて、不器用そうな、気迫のある字。
学校の持ち物に、この字で自分の名前が書いてあったのを思い出す。
(私の好きな、字……)
(もし……要くんがいなくなってしまうことがあったら、私は……)
「お前がこの家を出て行って気づいた。いつも当たり前のようにあったご飯。片付けられた部屋。いってらっしゃい。おかえり。おやすみと言ってもらえることの幸せ」
お父さんが私を見た。その瞳は空っぽのようだけど、今はちゃんと、私が映っているようだった。
「すまなかった」
「えっ……?」
私に向き合い、両膝に手を乗せ、頭を下げるお父さん。
私は困惑した。
「お、お父さん……」
顔を上げて言う前に、お父さんは話を続ける。
「裕介のことも、許してやってほしいとは言わない。ただ、あいつを嫌いにならないでやってほしいんだ。あいつも俺と同じ、どうしよもなく、愛情を求めた」
裕介は今、刑務所に服役している。罪を認めたこと、本人に反省の意思があると見られたこと、何より、私に怪我もなく、裕介の社会復帰の妨げにならないようにしてほしいという私の願いの元、刑は重くはならないはずだ。
お父さんのことも、裕介のことも、簡単には気持ちに整理がつけられない。でも、愛する人がいる今の私には、あの時のお父さんの気持ちが、少しは理解できる気がした。
「私は、お父さんを恨んでないよ。確かに、いっぱい傷つけられたし……苦しかった……でも、それが全てじゃないって分かったから」
お父さんはお父さんなりに、私を自分から守ろうとしてくれていた。お母さんとの思い出も、私の存在も、大切にしようとしてくれていた。
(……それに、どんなことがあろうとも、私はお父さんを嫌いになれない)
「だから、父親じゃないなんて言わないでほしい。これから先も、何があっても、私の父親は、お父さんただ一人なんだから……」
「花音……」
涙を滲ませる私に、お父さんの瞳も潤む。こぼれ落ちそうになる涙を荒っぽく指先で払うと、お父さんは立ち上がり、ペンを持ちこちらに戻ってくる。
「これでいいだろうか」
要くんは婚姻届けを受け取ると、私に見せてくれる。そこには、しっかりとお父さんの名前があった。
(この字……)
荒っぽくて、不器用そうな、気迫のある字。
学校の持ち物に、この字で自分の名前が書いてあったのを思い出す。
(私の好きな、字……)