君が愛おしくて。クールなエリートSPの甘く一途な溺愛事情
「ドアを開けた時、お前を見て、驚いて言葉が出なかった。真優にそっくりだったから。……綺麗になったな、花音」
お母さんに似ている。その言葉は、もう呪いなどではなかった。
「……ありがとう。お父さん……」
そう言うと、お父さんは小さくだけど、笑ってくれた。
昔のような、優しい笑みで。
「無事、お父様にサインしてもらえたことだし、お母様にも挨拶していいかな?」
「うん、私もする」
要くんとお母さんの写真の前に並んで正座をすると、手を合わせ、目を閉じる。
(お母さん、ずっと帰ってこれなくてごめんね。私ね、結婚します。彼と……)
この声が、天国にいるお母さんに聞こえているのかは分からない。でも、きっと届いている。私はそう信じている。
(幸せになります)
目を開けると、要くんはまだ合掌中だった。何を話しているのだろうか。気になったけど、聞かないことにした。それは、要くんとお母さんだけの秘密の会話だと思うから。
「郡司くん」
帰り際、お父さんは要くんを呼び止めた。
背中を丸め、要くんに向かって頭を下げるお父さん。
そんなお父さんに、要くんも背筋を伸ばす。
「娘をよろしく頼む」
「……はい。必ず幸せにします」
ドアが閉まるまで、お父さんの姿が見えた。背は向けず、真っ直ぐに、私たちを見送ってくれた。
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