君が愛おしくて。クールなエリートSPの甘く一途な溺愛事情
ライトアップされたクラゲの幻想的な世界に飲み込まれそうになる。視線を隣に移すと、興味津々に水槽の中にいるクラゲを見る彼女がいる。その姿はいつもの健穏な彼女とは違い、無邪気な少女のようだ。
「あっ、要くん見て! 小さいクラゲ!」
花音が指差した方向には、ニ桶のクラゲがぷかぷかと気持ちよさそうに浮いている。
「ああ、ほんとだ」
親子だろうか。小さい方のクラゲは、大きい方のクラゲに甘えるようにピッタリとくっついている。
「可愛いね」
満面の笑みを浮かべ、僕に笑いかける彼女に安心する。
父親との蟠りも解け、今ではすっかりと元気になった彼女。会いに行こうと持ちかけたのは自分だったが、内心、これでよかったのかと心配もあった。だけど、今の彼女を見ていると、その選択が間違いではなかったと分かる。
【お知らせいたします__】
館内放送がかかり、十四時半からイルカショーがあるという。
「イルカショーか」
「要くん」
隣の彼女の瞳は、キラキラと輝いている。
「ふっ」
(行くかと問いかける必要もないな)
「行こう」
「うん!」
当たり前のようにその手を握ろうとする。だけど。
「要くんこっち!」
力強い手が、僕の手を引いた。
握られた僕の左手の薬指には、彼女と同じルビーの宝石があしらわれた指輪がはめられている。この指輪は、僕たちが夫婦である証。どこにいようとも、この指輪が僕たちを繋げてくれる。
(時間はたくさんあるんだもんな)
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