君が愛おしくて。クールなエリートSPの甘く一途な溺愛事情
ダイナミックなイルカショーに終始魅了され、僕たちは大人だということを忘れてはしゃいだ。遅めの昼食を食べ終わると、おみやげコーナーを散策。くま好きの花音は、しろくまのぬいぐるみを買おうか買わないか頭を捻らせていた。
白くてふわふわなくまのぬいぐるみは、彼女の母性を放っておかないだろう。
(さっき本物の白くまを見た時も、あまりの可愛さにため息が漏れていたもんな。写真も連写してたし)
そう思いながら悩むその姿を見ていると、丸めていた彼女の背中が真っ直ぐになった。
「トイレ行ってくるね」
そう言って、彼女はおみやげコーナーを出て行く。
(買わないのか。本当は欲しいだろうに)
倹約家な彼女。ここで使うのは我慢しようと決めたようだった。
小さなキーホルダーでも、何千円近くとする水族館の商品は確かに高いと言えるだろう。だか、妻が欲しがっていると分かっていて、買わない夫がどこにいる。
彼女が喜ぶなら、僕はなんでもしてあげたい。
しろくまと見つめ合うこと三秒。僕はぬいぐるみを手に持ちレジに向かった。
店員が袋に入れてくれようとしたが、そのまま渡そうと思い断った。
「えっ……」
トイレから戻ってきた彼女は、僕が抱きかかえているのぬいぐるみを見てポカーンとした。
「これ、さっき私が見てたぬいぐるみだよね?」
「うん、君にプレゼント」
両腕でぬいぐるみを抱えさせる。彼女は少し困惑しながら、腕の中にいるぬいぐるみを見る。
天使がいるとするのなら、きっとこんな姿だろう。ぬいぐるみの愛嬌も相まって、僕の奥さんは最高に可愛かった。
「私、要くんにしてもらってばっかりだね。何が返せるかな……」
切実な思いでそう言う彼女に、僕の頬は緩む。
「まったく君は……」
でもそれは、僕を想ってくれているからだ。
素直に、心が嬉しいという。
「何もしなくていいよ。君が側にいてくれるだけで、僕はこんなにも幸せなんだ」
君は知らない。君が存在してくれているだけで、僕がどれだけ救われているのか。
彼女はぽわっと顔を赤らめると、ぬいぐるみを抱きしめた。
「……ありがとう、要くん。この子、大切にするね」
笑顔になった彼女。やっぱり天使だと思う。
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