君が愛おしくて。クールなエリートSPの甘く一途な溺愛事情
エピローグ
僕の想い人
「足元、気をつけて」
数時間後、車を降りると、茂みに隠れた小道を歩く。少し息を切らす花音の手を引き、階段を上り終えると、なんとか頂上まで辿り着く。
「わぁ……」
柵に手をかけ、景色に見入る花音。街が一望できるこのスポットは、地元の人間でも知るのはごく僅か。
「驚くのはまだ早いよ」
腕時計を確認すると、もう間もなくだった。
(そろそろかな……)
オレンジ色の光が、導くように街を輝かせはじめる。息を呑む彼女。夕暮れ時の美しさに言葉が出ないようだ。
太陽の光が彼女の横顔を照らす。優しく、穏やかに照らされたその姿はとても美しくて、僕は瞬きもせずにその姿を見つめた。
この瞬間を永遠にこの瞳の中に閉じ込めてしまいたい。叶うなら、僕の最後にはこの景色が映ってほしい。
「……なんか、感動しちゃうな」
独り言のように、彼女はポツリと言う。
「子供の頃、道に迷って、一人でここに来たことがあるんだ」
ある時、両親と口論になった僕は家を飛び出し、行くあてもなく歩いた。そうして偶然たどり着いたのが、この場所だった。
「昔から、両親は僕の成すこと全てに口を出してきて、よく反発してた」
そんな僕の心をこの太陽の美しさは宥めてくれた。
「それから、何かあったらよくここに来るようになったんだ。いつか大切な人ができたら、この夕暮れを一緒に見たいと思ってた」
そしてその夢が、今、叶った。
「再会して、どんどん要くんを好きになる自分がいて、好きで戸惑って悩んだ時もあったけど……」
花音は体ごと、僕に向き直る。
「あの時、勇気を出して告白してよかった!」
今でも、鮮明に覚えている。彼女が想いを伝えてくれた日のことを。先に言われてしまったと思いながら、心の底から何かが湧き上がるようだった。
「花音は知らないだろうけど、僕は一年の時から君を知っていた」
「え……そうなの?」
目を丸くし聞き返してくる彼女に、僕は小さく頷いた。
世間で称賛される両親。そのせいで、僕への周囲の期待は高まり、執拗に注目された。それは高校に入ってからも同じで、あの時は全てに嫌気が差していた。
「でも、そんな僕を救ってくれた人がいる。花音、君だ」
穏やかに凛と、でも脆くもある、花のような君に__僕は。
「一目惚れをしたんだ」
彼女を見つめたまま左手を取ると跪く。何度もやった動作。いつの時よりも真摯に、丁寧に。
左手の薬指で光る指輪を指先で撫でる。
「花音、僕と出会ってくれてありがとう。僕を好きになってくれてありがとう。僕の奥さんになってくれて、本当に、ありがとう……」
なぜだろうか。悲しいわけじゃないのに、涙が出そうになる。
「要くん……」
涙腺を緩ませる僕の頬を、少し冷えた、でも温かい彼女の両手が包み込む。
「愛している。これからも、何度でも君に伝えるから」
いつも人目など気にすることなくそんなことを言えるのは、僕の目には君しか映っていないから。
初めて出会ったあの日から。
数時間後、車を降りると、茂みに隠れた小道を歩く。少し息を切らす花音の手を引き、階段を上り終えると、なんとか頂上まで辿り着く。
「わぁ……」
柵に手をかけ、景色に見入る花音。街が一望できるこのスポットは、地元の人間でも知るのはごく僅か。
「驚くのはまだ早いよ」
腕時計を確認すると、もう間もなくだった。
(そろそろかな……)
オレンジ色の光が、導くように街を輝かせはじめる。息を呑む彼女。夕暮れ時の美しさに言葉が出ないようだ。
太陽の光が彼女の横顔を照らす。優しく、穏やかに照らされたその姿はとても美しくて、僕は瞬きもせずにその姿を見つめた。
この瞬間を永遠にこの瞳の中に閉じ込めてしまいたい。叶うなら、僕の最後にはこの景色が映ってほしい。
「……なんか、感動しちゃうな」
独り言のように、彼女はポツリと言う。
「子供の頃、道に迷って、一人でここに来たことがあるんだ」
ある時、両親と口論になった僕は家を飛び出し、行くあてもなく歩いた。そうして偶然たどり着いたのが、この場所だった。
「昔から、両親は僕の成すこと全てに口を出してきて、よく反発してた」
そんな僕の心をこの太陽の美しさは宥めてくれた。
「それから、何かあったらよくここに来るようになったんだ。いつか大切な人ができたら、この夕暮れを一緒に見たいと思ってた」
そしてその夢が、今、叶った。
「再会して、どんどん要くんを好きになる自分がいて、好きで戸惑って悩んだ時もあったけど……」
花音は体ごと、僕に向き直る。
「あの時、勇気を出して告白してよかった!」
今でも、鮮明に覚えている。彼女が想いを伝えてくれた日のことを。先に言われてしまったと思いながら、心の底から何かが湧き上がるようだった。
「花音は知らないだろうけど、僕は一年の時から君を知っていた」
「え……そうなの?」
目を丸くし聞き返してくる彼女に、僕は小さく頷いた。
世間で称賛される両親。そのせいで、僕への周囲の期待は高まり、執拗に注目された。それは高校に入ってからも同じで、あの時は全てに嫌気が差していた。
「でも、そんな僕を救ってくれた人がいる。花音、君だ」
穏やかに凛と、でも脆くもある、花のような君に__僕は。
「一目惚れをしたんだ」
彼女を見つめたまま左手を取ると跪く。何度もやった動作。いつの時よりも真摯に、丁寧に。
左手の薬指で光る指輪を指先で撫でる。
「花音、僕と出会ってくれてありがとう。僕を好きになってくれてありがとう。僕の奥さんになってくれて、本当に、ありがとう……」
なぜだろうか。悲しいわけじゃないのに、涙が出そうになる。
「要くん……」
涙腺を緩ませる僕の頬を、少し冷えた、でも温かい彼女の両手が包み込む。
「愛している。これからも、何度でも君に伝えるから」
いつも人目など気にすることなくそんなことを言えるのは、僕の目には君しか映っていないから。
初めて出会ったあの日から。