君が愛おしくて。クールなエリートSPの甘く一途な溺愛事情
拳銃を腰のベルトにセットする。ロッカーを閉める前に、扉の内側につけられた写真を一瞥する。
この写真を見ると、気持ちが和む。
扉を閉めると、無意識に自分の首元に手を置いていた。
今日、着けているネクタイは、お世話になったお礼にと、花音がプレゼントしてくれたものだ。自分がしたくてしていることだから、そんな気を遣わなくていいのにと思う反面、素直に嬉しかった。
(花音……)
脳裏に浮かんだ彼女の笑顔に胸がくすぶられる。あの笑顔を見ると、可愛すぎて抱きしめたくなる。
(こんなにも想いが溢れそうになるとはな)
十年前はそんなことになるとも知らず、彼女に別れを告げた。
ストーカーのこともあるし、彼女との関係は、ゆっくりと進めていきたいと思っている。でも、正直、抑えられる自信がない。
十年、十年会えなかったんだ。それがどれだけの長い時間で、想いが募ったか。
「はあ……」
意識せずとも出たため息は、儚く消える。
今朝、会ったばかりだというのに、もう彼女に会いたくなってしまった。良い成人男性が初めて恋をした中学生のようだ。
でも、この気持ちはあの頃と同じ。
いや、それ以上だ。
「郡司係長、そろそろ行きましょう」
「ああ」
緩んだ気を引き締めるようにネクタイを締め直すと、ロッカールームを後にした。
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