君が愛おしくて。クールなエリートSPの甘く一途な溺愛事情
私の家は少し複雑だ。
幼い頃から一緒に過ごしてきたたく兄は、そのことを知っているけど、要くんには、今まで一度も家の話をしたことはない。
「親父さんとは、連絡取ってるのか?」
俯いたまま、首を横に振る。
「もう何年、実家に帰ってないんだ」
「……専門学校を卒業してからだから、七年になるかな」
「これを気に帰ったらどうだ。結婚するなら、挨拶だってしないとだろ」
両手をギュッと握る。
「っ……あの人は、私になんて会いたくないよ」
そう、会いたいなんて思われるはずがない。だって私は、お母さんの命を奪って生まれた子なんだから。
__お前さえいなければ。母さんを返せ。
心臓が、ドクンと飛び跳ねた。嫌な音だった。
幾度となく言われた冷たい父の言葉が、すぐ耳元で聞こえた気がしたのだ。
(……なんで、今でも思い出しちゃうの。それはもう、忘れようって決めたことなのに……)
歯を食いしばり、笑顔を作る。
「驚かせてごめんね。でも、心配しなくて大丈夫だから。要くん、すごく優しくて、本当に大切にしてもらってるよ。だから……たく兄には、喜んでもらいたい」
誰にも祝われないことくらい分かってる。でも、せめてたく兄だけには、祝福してほしかった。
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