君が愛おしくて。クールなエリートSPの甘く一途な溺愛事情
「にしても、郡司が結婚を前提にして付き合うなんてな」
帰り際、彼女がトイレで席を外し二人になると、才川は考え深そうに言う。
「まさか、高校時代の彼女のことをずっと好きだったとは、思いもしなかったな」
結婚は時期がきたらいずれ。そんなあやふやにしか考えていなかった。それなのに、彼女と再会したら、もうその選択肢以外、考えられなかった。
彼女を初めて抱いたあの夜。僕は自分の欲望に勝てなかった。彼女の全てが欲しいという、重く、執拗な欲望に。
自分が思う以上に、僕は彼女が好きなのだろう。
「花音ちゃん、可愛くて素直な子だな。お前のことが‘’大好き‘’だってさ」
「うるさい」
「お前が女の子に照れるなんてな。今日はいいものを見られた」
からかってくる才川を睨むも、惚けた顔をやめない。
「よく笑うし、俺もあんな子が側にいてくれたらな〜」
「……」
彼女の笑顔の裏には、苦悩がある。まだ僕が知らない苦悩も含めて。
「彼女、ストーカー被害に遭っているんだ」
僕がそう言うと、才川の顔つきが一気に引き締まる。
「犯人に心あたりは?」
「ないらしい。僕も一度遭遇しているけど、身長は170センチほどで、痩せ型、若い男という以外、まだ何も分からない」
現段階では、知り合いかどうかも判別できていなし、その動機も目的も分からない。
「被害届は?」
「もちろん出している。でも、物的証拠がないから警察は動けない」
彼女に好意があってストーカーに及んでいるのか。それとも、何か他の目的があるのか。
「そうとは知らず、会わせてほしいなんて、俺……」
「いや、最近は外出も仕事に行くくらいだったから、彼女もストレスがあったと思う。今日はお前のおかげで、良い気分転換になったさ」
「郡司……ならよかった。せめて、相手が誰かさえ分かれば、接近禁命令を出せるんだけどな……」
特殊カメラの設置に加え、店と自宅付近のパトロールは強化してもらっているとはいえ、現状、ストーカーは彼女に近づくことができる。何かが起きてからでは遅いのに、これ以上は打つ術がないのがもどかしい。
あの時は、ストーカーという確信がなかったから、取り押さえることもできなかった。才川の言うとおり、せめて相手が誰かさえ分かれば、それなりの措置がとれるというのに。
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