君が愛おしくて。クールなエリートSPの甘く一途な溺愛事情
少しして戻ると、たく兄は台車から段ボールを下ろしてくれていた。
「いつもありがとう。これ、お礼」
「おっ、俺の好きなコーラじゃん。さんきゅー」
たく兄は私からコーラを受け取ると、キャップを開けごくごくと飲み始めた。
たく兄が束の間の休憩をしているその間に、私は配達の受け取り用紙にサインを記入する。
「最近どうだ? 上手くいってるか」
「ありがたいことに」
「忙しそうだもんな」
花を届けてもらうのは週に二、三回。たく兄はその時間以外にも仕事の合間をぬって店に顔を出してくれる。
「たく兄こそ、おじさんの後継ぐんでしょ?」
「ゆくゆくはな。でもその前に嫁を探せって言われてる。男は家庭を持って一人前。たくっ……いつの時代だよってな」
「あははっ、おじさん言いそう。たく兄ならすぐに見つかるよ」
面倒見の良いたく兄は、年下の私の世話も面倒くさがらずよくしてくれていた。
転んで足を擦りむいた時、痛いって泣き叫ぶ私を背負って家まで連れていってくれたっけ。今思えば、あの時のたく兄はかっこよかったかも。
そんなことを考えていると、たく兄に顔を覗き込まれた。
「お前、なんか疲れた顔してるな?」
「そ、そう?」
「ちゃんと寝てるか?」
「もちろん。睡眠はお肌の大敵ですから」
嘘だ。本当はあまり寝られていない。ストーカーのことがあってから、なかなか寝付けず、睡眠の質が浅いせいですぐに目を覚ましてしまう。
「なら良いけど、若さも永遠じゃないんだから。お前ももう二十八だろ、そろそろ結婚とか考えたほうがいいんじゃねーの?」
「余計なお世話ですー」
私だって、本当は恋がしたい。郡司くんを忘れるほどに熱中できる恋が。だけど、この問題が解決しない限り恋なんて出来っこない。
すると、たく兄が私の頭をがしがしと撫でる。
「髪が乱れちゃうでしょ」
手で制し嫌がりながらもそう言うも、たく兄はやめてくれない。
「大丈夫だって、俺しか見てないんだから」
そう言いながら、たく兄は豪快に笑う。
「もし三十になっても結婚できなかったら、俺が嫁にもらってやってもいいぞ」
「遠慮しときます。たく兄みたいな人の奥さんとか絶対大変だもん」
「なんだとー?」
ニヤリと笑ったたく兄は、私のお腹や脇をくすぐり笑わせてくる。
「もーくすぐった言ってばっ!」
身勝手さがあるたく兄だけど、たく兄が来てくれてよかった。じゃないと、気が気じゃなかったから。
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