君が愛おしくて。クールなエリートSPの甘く一途な溺愛事情
「……諦めてください」
気づけば、そう言葉を発していた。
「は……?」
眉を吊り上げ、気に食わなそうに首を傾げる愛美さん。
「っ……」
(逃げちゃダメ……逃げるな、私)
彼を心から愛している。その想いだけは誰にも負けない。
負けるはずがない。
「か、要くんは、私の大切な恋人です。私は……彼との未来を生きたい。だから……要くんのことは、諦めて下さい……!!」
怒りに満ちた愛美さんの視線に揺るがされそうになりながらも、私は怯まなかった。
目を逸らさずじっと見ていると、愛美さんは声を張り上げた。
「っあなたね……!」
勢いよく立ち上がった愛美さんが、私めがけて手を振り上げる。
(叩かれる)
私は咄嗟に目を瞑った。
だけど__。
(あれ……? 叩かれ、ない……?)
「な、なんでここに……」
驚いたような愛美さんの声に、ゆっくりと目を開けると、目の前に、スーツを着た黒髪の男性が立っていた。
「花音、平気?」
「要、くん……」
(どうして……)
要くんは、振り下ろされそうになっていた愛美さんの腕を掴んでいた。
「何事かと思って来てみたら……」
柔らかで落ち着いた視線は、鋭いものに変わり、それは愛美さんに向く。
「これは一体、どういうことですか?」
非常な声。
そんな要くんに、愛美さんは焦ったようで。
「違うの要さん、私はただ……!」
「何が違うというのですか? あなたは僕の大切な恋人を侮辱し、傷つけようとした。あろうことか、暴力という手を使って」
言い方は丁寧だけど、その言葉からは、強い怒りが感じられた。
要くんの冷淡な視線と気迫に、愛美さんは苦痛そうに顔を歪め、黙り込む。
「行くよ」
要くんは私の手を握ると、そのまま店を出た。
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