君が愛おしくて。クールなエリートSPの甘く一途な溺愛事情
出勤してすぐ森下さんに呼ばれ、管理官室を訪れていた。
「また伊勢谷元総理の警護ですか? しかも、一係と合同で?」
聞き返した僕に、森下さんは頷く。
「今回は、若葉ゆり子議員の応援演説に行くとのことだ」
それなら、一係だけで自員は足りるはずだ。
「なぜ伊勢谷元総理の警護に三係まで?」
(まさか、また愛美が)
「一応言うと、この件に関しては、伊勢谷元総理は何も手引きしていない」
僕の心の中を見透かしてか、森下さんはそう言う。
森下さんは、僕が愛美のことで頭を悩ませていたを分かっていたのだろう。
「この選挙演説には、アメリカのウィルソン上院議長が同行するんだ」
「ウィルソン上院議長ですか……」
米国上院議長、エドワード・ウィルソンは、次の大統領候補にもなっている大物政治家。来日するのはプライベートでのことらしいが、日本の選挙活動を見たいという彼を伊勢谷総理は後輩議員の若葉ゆり子(わかば ゆりこ)の応援演説に連れて行きたいのだという。
ウィルソン議員の警護となれば、これは僕たち三係の仕事になる。半分はウィルソン上院議長、もう半分は伊勢谷元総理のわがままにも思えるが、これからの国同士の関係性を考えると、致し方ないことなのかもしれない。
「それでだが、この合同任務の指揮を君にとってもらいたいんだ」
「えっ、私がですか?」
嬉しいことだが、自分で務まるだろうか。
(もっと経験値のあるSPの方がいいいんじゃ)
「君は若いが優秀なSPだ。私も上も、君が適任だと思っている」
森下さんは僕を後押しするようにそう言う。
若葉議員はともかく、大物政治家二人を相手にするのは骨が折れるだろう。だが、これはSPとして期待され認められている証拠。
今一度、背筋を伸ばす。
「ご期待に添えるよう、頑張ります」
僕の言葉に、森下さんは誇らしげに頷いた。
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