君が愛おしくて。クールなエリートSPの甘く一途な溺愛事情
「そうだ。花音さんは元気かな?」
「はい、おかげさまで」
花音と付き合っていることを知った森下さんは、僕がなるべく早く家に帰れるようにと、シフトを考えてくれたりと、何かと気遣ってくれている。
休みも労働時間も安定しない警察官は不規則。少しでも花音と過ごせる時間をもらえることは、本当に感謝してもしきれないことだ。
「この間、生活安全課の同期が退職してね。認知症のお母さんの介護をしないといけないそうなんだ。その時、部署のみんなで花音さんの店に花束をお願いしたみたいなんだ」
「そうでしたか」
(それであの時、愛美と鉢合わせたのか)
「大変なんて言葉じゃ言い表せないくらいのことが待っていると思うけど、この花束に勇気をもらえたから、前向きな気持ちでやっていきたいと言っていたよ。花音さんはすごいね」
本人は気づいていないようだが、彼女は人に安らぎを与える人だ。ただそこにいるだけで救われる。そんな人が、大勢いるはずだ。
かつての僕のように。
(本当に、花音には敵わないな)
すると、森下さんは目を見開き、驚いたような顔をして僕を見た。
「……どうかしましたか?」
「いや、ふふっ……」
思わずと言った様子で、笑みをこぼす森下さん。
(何かおかしなことがあっただろうか)
疑問に思っていると、森下さんは柔らかく目を細めた。
「君は彼女のこととなると、そんなにも優しい顔をするんだな」
そう言われ、自分でも驚いた。
(……自覚がなかった)
上司を前にして、僕の頬は緩んでいたらしい。彼女のことを考えると、無意識に微笑んでしまうみたいだ。
「たまには、部下たちにもそんな顔をして褒めてやってくれ」
僕の優しい顔というのがどう言うものなのか分からないが、彼女のことを考えてしている顔なら、部下にはできなそうだなと思った。
そんな僕の苦い表情に、森下さんはおかしそうに笑っていた。
「連休を取ってもらうのは難しいが、できる限り意向に添えるようにしたいと思っている。何かあれば、遠慮せずに言ってくれ」
「ありがとうございます」
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