君が愛おしくて。クールなエリートSPの甘く一途な溺愛事情
「__何をしている」
それは、どこか聞き覚えのある、懐かしい声だった。
黒ずくめの男の後ろから、スーツを身に纏った体格の良い男性の腕が伸びてきた。男性は私の手首をつかむ黒ずくめの男の腕を掴んでいた。
「くっ……!!」
男性が腕に力を込めたのか、黒づくめの男は顔を歪ませ、悲痛そうな声を上げた。
「彼女から手を離せ……お前のこの腕をへし折ってもいいんだぞ」
「っ……」
有無を言わせないほどの冷徹な男性に、黒ずくめの男は怯んだのか、慌てて走り去って行った。
(……助かった……)
安心したせいで体から力が抜け、私はその場にへたれ込んでしまった。
「大丈夫か」
私の前に跪く男性。
「はい……すいません、ありがとうございます……え__?」
お礼を言いながら顔を上げて、目を見張った。
街灯に照らされて、男性の顔がハッキリと見える。
目鼻立ちの良い、華やかな顔立ち。
「久しぶり」
「……郡司、くん……?」
それは、初恋相手の郡司要だった。
(嘘……!? なんで、なんで郡司くんがこんなところに? というか……私のこと覚えて)
「立てる?」
地面に座り込んだまま動かない私に、郡司くんは片手を差し出す。
「う、うん……ありがとう……」
俯いたままお礼を言いその手を取ると、郡司くんの力強い腕が私を引き上げた。スーツの上からでも分かるガッチリとした体に、ふらついた私の体が重なる。
「怪我はない?」
「へ、平気……」
彼から漂う爽やかな香りが、鼻を通り抜ける。
郡司くんは私が放り投げた傘を拾うと、二人の頭上に差す。
静かに降る雨が、やけに大きく聞こえた。
「家どこ?」
「えっ、緑川二丁目……です」
「送る。濡れるからもっとこっち寄って」
そう言って、郡司くんは私の肩を抱き歩き出す。
触れ合う肩と肩。
心の芯に熱が灯り、緊張で息をするのが苦しかった。
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