君が愛おしくて。クールなエリートSPの甘く一途な溺愛事情
広場に移動し、自販機横のベンチに腰掛けた愛美は、口元をぎゅっと縛り、顔を俯かせていた。
この間のカフェでのこともあるし、顔を合わせずらかっただろう。それでもまたこうやって僕の前に姿を見せたのだ、中々の根性だと思う。
少しして、愛美は徐に口を開いた。
「お父様に言われたわ。あなたのことは諦めろと。……でも私……やっぱりどうしてもあなたが好きなの……!」
顔を上げた愛美の表情は、プライドを傷つけられている悔しさと、僕を諦めらめきれない惜しみが入り混じっていた。
「どうして、どこにでもいるような、あんな普通の人が要さんとお付き合いできて、私はダメなの?」
理解に苦しむと言うように、愛美の眉間は皺を寄せる。
ただ僕を好きというよりかは、自分より劣っていると思う花音が、僕に愛されていることにも納得がいかないのだろう。
立ち上がった愛美は、強い眼差しを向け、僕の腕をぐっと掴む。
「私だったら、もっとあなたを上にいかせてあげられる」
(……こいつは、何も分かっていない)
伊勢谷元総理にはキッパリと振ってやってほしいと言われたし、彼女のことを傷つけた人間に、もうこれ以上、気など遣いたくない。
「あのな……」
手を離してもらおうと、愛美の手首を掴む。
そうして、ハッキリと言ってやろうとした時だった。
人の姿が視界に入り、何気に横を見る。
「……花音?」
そこには、お弁当箱を持ち立ち尽くす、花音がいた。
その視線は、僕の手に向けられていた。
動揺する彼女の瞳に、一気に悲しみの色が浮かぶ。
「__花音……!!」
花音は僕に背を向けると、そのまま走り去ってしまう。
「っ……」
愛美の手を払い除け、追いかけようとするが。
「行かないで……!!」
力強く、両手で腕を掴まれる。
完全に、堪忍袋の緒が切れた。
思い切り腕を後ろに引き、強引に手を離させる。拒絶されたことで、愛美の目には絶望の色が浮かんだが、心底どうだっていい。
「僕があなたのような傲慢な人間を好きになることなどあり得ない。僕が愛するのはこの世界でただ一人。__花音だけだ」
「……」
言葉を失い、力なく呆然とする愛美を残し、急いで彼女を追った。
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