君が愛おしくて。クールなエリートSPの甘く一途な溺愛事情
(何あれ。何、あれ……っ)
逃げ出すようにあの場を後にして、私は走り続けていた。
休憩に入って、昼ご飯を食べようと広場のベンチに行くと要くんがいた。声をかけようとして足を止めた。
隣に、愛美さんがいたから。
何かを懇願している様子の愛美さんの手首を、深刻そうな顔をしながら掴む要くん。二人の間には何もないと。私は要くんを信じている。
(信じて、いるけどっ……)
「わっ……!」
前を見ず走っていたせいで、人にぶつかってしまった。
「すいません」
慌てて頭を下げ謝る。
「大丈夫か?」
馴染みのある声が頭の上から降ってくる。顔を上げると、そこにいたのはたく兄だった。
「たく兄……どうしてここに」
そう聞くと、たく兄は呆気に取られた顔をした。
「どうしてって、ここ、店だろ」
そう言われ顔を横に向けると、フラワーショップ花音と書かれた黒板式の看板があった。
どうやら、無我夢中で走りながら、店へ戻ってきたようだ。
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