君が愛おしくて。クールなエリートSPの甘く一途な溺愛事情
掴まれていた手に、ぎゅっと力が込められる。
「俺だったら、お前にそんな顔させない。あいつよりお前を幸せにできる。なあ……俺にしとけよ」
いつもみたく、なんてなって言って欲しかった。でも、そうならないって目を見れば分かる。
たく兄は、本気で私のことが好きなんだ。
本当のお兄ちゃんのように慕って、家族よりも近しい人。私たちは互いにとって、大切な存在だ。
自分の店を持つことができたのも、このキッチンカーで店を出せたのも、たく兄のおかげ。たく兄には、感謝してもしきれないことがたくさんある。
(でも……それでも私が好きなのは、やっぱり、要くんで)
私はこの気持ちに答えることはできない。
「……ごめん。ごめんたく兄。私は、要くんが好き。だから、たく兄の気持ちには応えられない……」
たく兄の手から力が抜け、私の手を離す。
「……そっか」
顔を背けられて、たく兄の顔は見えなかった。だけど、どんな表情をしているのかは、その落胆した声で分かってしまう。
「休憩、してくるね」
「……ああ」
歩き出し、たく兄から遠ざかると、一度足を止めて振り向きたくもなった。だけど、私は振り向かずに前へ進んだ。
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