君が愛おしくて。クールなエリートSPの甘く一途な溺愛事情
「はぁ……はぁっ……」
(どこだ……っ花音……)
すぐに追いかけたが、人混みの中に紛れてしまい、彼女を見失ってしまった。
店に戻ったのかもしれない。そう思い、キッチンカーのある場所に向かった。
フラワーショップ花音と書かれた看板を見つけ、足を止める。店の前にはいない。息を切らしながらキッチンカーの中を覗くが、彼女の姿はなかった。
(帰った? いや、彼女が仕事を放り出すはずがない)
「花音なら、ここにはいないぜ」
聞き覚えのある声に振り向くと、東海匠がいた。
「彼女はどこに?」
「知ってどうする? また傷つけるのか?」
東海はじっと僕を睨みつけてきた。
さっきのことを彼女から聞いたのかもしれない。
「お前には関係のないことだ」
視線を逸らし、辺りを見回す。
近くにはいないみたいだ。手当たり次第探しても、この広さではいつになるのか、ここで待っていれば、また会えそうだが。
東海を一瞥すると、変わらず僕を睨んでいた。
(……ここでこいつと二人でいるのもな。さっき見た男のことも気になるし、早く花音を見つけたい)
「高校の時も、あいつはお前が好きだったな」
キッチンカーに寄り掛かった東海は、物思いに耽るように、どこか遠くを見つめた。
(突然なんだ?)
「いつも楽しそうにお前の話をしていた。こっちの気持ちなんてしりもしないで、幸せそうに笑って言うんだ『要くんがね』って」
大きくため息をつく東海。
「口を開けばその名前だ。要くん要くん。今も昔も、うざいくらいのお前の名前を聞いてた。もちろん、お前が身勝手にあいつを振ったことも知っている」
そう言うと、東海はじろりと僕を睨んだ。
「俺は……あいつが幸せならそれでよかった。でも、こうも何度もお前があいつも悲しませるなら、俺も遠慮しない」
「どういう意味だ?」
「俺、あいつが好きだ。あいつにもそう伝えた」
「……彼女はなんて言ったんだ」
そう聞くと、すぐに返答がなかった。それが意味することを、僕は理解した。
「あいつ鈍感だから、俺の気持ちになんかちっとも気づいていなかったよ」
東海が花音を好きなのは薄々感じていたが、ここまで思いが強かったとは。
(だが、その思いは僕には勝らない)
「お前の想いは本物だろう。でもだからと言って、僕は彼女を譲る気はない」
僕は心から彼女を愛している。永遠に一緒にいたい。この想いは他の誰にも負けない。たとえ、彼女が僕から離れることを望む日が来ようとも、僕は彼女を離せないだろう。
身勝手で、惨めったらしい想い。
貪欲で、執着とも言えるようなこの気持ち。
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