君が愛おしくて。クールなエリートSPの甘く一途な溺愛事情
「はあ……」
まさか、たく兄が私のことを好きだったなんて。
(……全然、気づかなかった)
逃げるようにたく兄の元を後にして、私は駅の裏手にあるベンチに腰を下ろしていた。
要くんのことを話すと素っ気なかったのは、そういうことだったんだ。
(子供の頃からって言ってたけど、具体的にいつから……)
「はあ……ダメだな、私」
たく兄の気持ちに気づかないで、いつも要くんの話をしてた。たく兄は、一体どんな気持ちだったんだろう。
ギュルギュルっとお腹が鳴る音がする。
「もう……こんな時でもお腹は空くんだから」
せっかく作ったお弁当は落として食べられないし、どこか店に入って食べる気分でもない。
(コンビニでおにぎりとか、何か簡単に口に入れられる物でも買って店に戻ろう。要くんと愛美さんのことは気になるけど、今はくよくよしている場合じゃない)
両手で頬をパシパシと叩く。
「よしっ。切り替え切り替え」
そう、椅子から立ち上がり、一歩踏み出した時だった。
(えっ__)
目の前に、フードを被った男が立っていた。
「動くな」
不穏な声に、身の毛がよだつ。
体が石のように固まる。
目の前にいるフードを被った男が、あのストーカーの男だと、体が反応していた。
辺りに人はいる。だが、
(……声が、出ない……)
頭は逃げろと言っているが、恐怖で足がすくみ、体が動いてくれない。
男はジリジリと近づいて来る。
「い、嫌……」
通りすがる人も、こちらの様子に気づいてくれる人はいない。
(嘘__あれって)
男はポケットから、ナイフのような尖ったものを取り出すと、気味の悪い笑みが浮かべた。
(怖い……助けて要くん……!!)
頬に涙が伝った、その時__。
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