君が愛おしくて。クールなエリートSPの甘く一途な溺愛事情
エピソード6

どうしようもなく好きで

「おまたせいたしました」
いつものように作った花束を渡そうとすると、お客様に顔を覗き込まれた。
「何か、いいことでもあったのかしら?」
「え?」
「なんだか、前よりも生き生きしているから」
常連である彼女には、私のことはお見通しらしい。
「実は……」
結婚することを話すと、お客様は「まあ!」と両手を合わせた。
「じゃあ、その左手の薬指にある指輪は……」
幸せいっぱいの笑顔とともに、顔の横で指輪を見せると、お客様は嬉しそうに微笑んでくれた。
「大変なこともあるだろうけど、いつもお互いを思いやることを大切にね」
お客様は「お幸せに」と言い、笑顔で私の胸に抱えられていた花束を受け取ると、店を出て行く。
後に続いて外まで見送ると、店の外に一台のミニバンが停まっていた。
白いミニバンの横には、東海花園の文字が。
運転席から降りてきたたく兄は、トランクから台車を出すと、花が入った段ボールを載せ台車を引いてこちらに来る。
「よお」
店前に立っていた私に、たく兄は変わらぬ様子で挨拶をしてくる。
「よ、よお……」
いつもの感じを忘れ、ついぎこちなくなってしまった返し。
あの事件があってから、たく兄に会うのはこれが初めてだった。メールで仕事のやり取りはしていたけど、声を聞くのは久しぶりだ。
「今のって、開店当時から来てくれてる人だろ?」
「え? あ、うん。今日は家のリビングに飾る花を買いに来てくれたの」
「お前の作る花が好きなんだな」
穏やかな顔をしながらそう言うと、たく兄は台車を引き店の中に入っていく。
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